納得できる支払い

賃貸住宅の契約更新時に「更新料」をとる契約の有効性が争われた裁判。

最高裁が「高額すぎなければ有効」との判断を示した (『朝日』7月16日付)。この最高裁判断にたいして、『日経 (7月20日付)』が「誰にでも分かる家賃体系を」、そして『朝日(7月20日付)』が「家賃判決: 透明性高める努力を」と題した社説を掲げている。

性格や支払い根拠が明確でなければ、誰でも釈然としない気持ちをいだく。嫌ならば、契約しなければ良いと借り主は言う。しかし、住まいを確保しなければ、暮らせない。衣食住を満たさざるを得ない。住まいを所有していない者は、借りなければならない。弱い立場の人間に対して「嫌ならば・・・」という理屈をたてるのはどうか。安い賃金の仕事を提示して「嫌ならば働かなければ良い」とは言えないはずである。

「意義付けをめぐって訴訟が相次ぎ、トラブルが続くような契約はそもそも不適切なのではないか」と日経の社説は疑問を呈している。貸し手・借りての双方が「納得できる」「透明性の高い」契約にすべきだとの主張を否定する者はいないはずである。この判決で、すべてを決着とするのではなく、お互いの実質的な歩み寄りが求められているように思う。

若い頃、関西に住むことになり、アパート探しをした。高額の保証金を求める関西方式を知らなかったので、とても困った経験がある。賃貸契約は、全国一律ではなく、地方ごとに違いがあることも知らなかったわけだ。世間知らずも甚だしいと言われたものです。

賃貸契約ではなく、不動産の売買契約の場合。一生のうち経験するのは一回、ないし二回程度。不動産屋に仲介してもらい、成約すれば、購入金額の一部を「手数料」として支払わねばならない。仮に3000万円の物件で、3%とすれば、90万円。高いのか、それとも低いのか。不動産屋さんに、あちこち案内してもらっても、契約に至らなければ、何も支払わない。契約した人が、契約に至らなかった人が受けたサービス分も、実質的に支払っているようにも見えてくる。

世間には、「納得できない」、「透明性の高くない」契約が少なからずありそうである。経済学でいうところの「情報の非対称性」に関わってくる。

 

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