レジリアントな社会

最近、多くの人が「復旧・復興」というように「復旧」と「復興」並べて話したり、書いたりする人が増えた。以前の状態に「戻す」だけでなく、あらたに「興す」ことも併せて考えねばならないということでしょう。

自然からの「外力」によって受けた災害(多くの場合、人災による)から、いかにして「復旧・復興」するか/できるか。できるだけ早く復旧するためにはどのような条件が備わっていなければならないか。おそらく、そのような問題意識から使われるようになったと思われる表現がある。

〈レジリアント〉な社会。

手元の電子辞書に収められている『ジーニアス英和大辞典』で与えられている訳語を引用しておく。

『resilient  adj.  1.〈圧縮に対して〉弾力のある、はね返る 2.〈不運・病気などから〉立ち直り[回復]の早い、快活な』

『resilience, resiliency n. 1.弾力性、2.回復力、快活、元気 3.[物理]〈弾力性のある物質の〉弾性エネルギー、4.[生態]復元力〈攪乱を受けた群集が元の状態に復帰できる能力〉』

これまでは、自然科学分野で使われていて、最近になって社会のあり方をめぐる議論に適用され始めたようである。「回復力のある」「外力に弾力的」「リスク対応力が高い」などの訳があるが、いまだ定訳はなさそうである。

自然の外力だけなく、経済危機・政治危機が起きた時の、社会の〈レジリアンス〉が問題。

社会の再生産がおこなわれるためには、人々が生きていくために満たされねばならないモノが生産されるだけでなく、生産するさいに切り結ばれる〈人とひとの関係〉も維持されねばならない。

レジリアンスの焦点は、〈人とひとの関係〉をどのように切り結べばいいいか、にある。

 

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