原子炉と〈原始〉炉

『朝日新聞』の「サザエさんをさがして」(6月4日付)を見て、驚かされた。

原子の火が初めてともったのが、1957年8月27日。茨城県東海村の実験用1号原子炉が臨界に成功した日。

この日に新聞に掲載された「サザエさん」が採り上げられている。

『「原子時代」の到来と喜ぶ波平とマスオ。波平は余勢で、七輪を「旧弊なもの」と切り捨てる。一方のサザエは七輪を「原始炉」と呼び擁護する。科学の進歩という言葉に弱い男性と、生活感覚に根ざした女性との対比が鮮やかに描かれた。』

半世紀余り以前に描かれた四コマ漫画。今なお、今だからこそ、強く訴えかける。もちろん、反原発をテーマにした漫画ではないが、半世紀余りを超えて、新しい意味合いをもってしまった。

福島第一原発の営業運転が始まったのが1971年。すでに40年が経過しているわけだ。原発が停止すれば、それだけ電力供給が減少する。これまでcapacity一杯に使用していたとすれば、需要を減らすしかない。

電気もなく、ガスもなければ、〈原始炉〉に戻るしかない。

この半世紀のあいだ、何をしてきたのだろう、と誰もが自省しなければならない。

漫画のもつ生命力、そして作者の時代感覚に、あらためて驚かされた。

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