非現実的な夢想家

カタルーニャ国際賞授賞式(6月9日)での受賞スピーチで、村上春樹さんは大震災、そして原発を採り上げ、「我々日本人は核に対する「ノー」を叫び続けるべきだった」「核を使わないエネルギーの開発を、日本の戦後の歩みの、中心命題に据えるべきだったのです」と論じた。

〈これから〉を模索する時『我々は力強い足取りで前に進んでいく「非現実的な夢想家」でなくてはならないのです』と訴えた。

「非現実的な夢想家」

「現実的に対処しなければならない」、「夢ばかり見ていないで、もっと現実的に考えなさい」、「抽象論で遊んでいないで、現実を見据えた理論を作らねば」等々。私たちをつねに「現実」を見ることを強いられている。でも、ほとんどの場合、現実的に考えると諭される時「現状を受け入れなさい」と同義である。現状を批判的に考察することなく、受け入れることが「現実的に対処する」ことにつながっている。

わたしたちの生存が保証されるかどうかという観点から現実的か否かが判断されねばならない。短期的に良さそうに見える(具体的には関係者の利益になる)行為が続けられた場合に、私たちの存在が危うくなるならば、その行為は『非現実的』なのである。そうした非現実的な行為・決定を否定することが「現実的」ということ。その意味で、”Real Utopia”を求める営みを続けねばならないのである。

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