重い問いかけ

佐野眞一氏の『津波と原発』(講談社、2011年)に次のように記されていた。

『実際に被災した人には、何を甘ったるいことを言っているんだ、と言われそうだが、私にとってこの大災害の一番の辛さは、見たくないもの、聞きたくもないものに、還暦を過ぎて遭ったことである。それにしても、まさかこれほどの大災害に生きているうちに遭おうとは思わなかった。』(p.12)

佐野氏と同じ思いを懐いている還暦過ぎも多いのではないか。その思いをどのように形にしていくか、あるいは行動に移すかが問われてくる。

『私たちがいま迫られているのは、戦後とは何だったのか、繁栄とは何だったのかという重い問いかけである。』(p.178)

同じ佐野氏の作品である『東電OL殺人事件』と本書をつなげて見た時に、東電という企業の〈すがた〉が浮かび上がってくる。ノンフィクションの力に圧倒された。

 

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